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Yukio Ozaki and his daughter
("Yukio Ozaki and his daughter" Yousuf Karsh,1950)

2019.4.23

一票の「ほんとうの重み」


平成最後の統一地方選挙が、21日の投開票(地域によっては22日開票)をもって終了しました。
当選で歓喜を噛みしめている方、あるいは涙を飲んだ方。
思いを巡らす方が多いことと思います。

関わった仲間や知己は当選もあれば惜敗もあり、何とも複雑な思いです。その一方ではありますが、恐らくどちらの立場でもほんとうの意味での「一票の重み」を感じられた方はごく僅かなのかも知れません。
あくまでも個人的な所感ですが、私が想いを致せる限りの、一票の「ほんとうの重み」について書き残して置こうと思います。

選挙のたびに言葉だけが躍るその重みとは、果たしていかなるものか。
私は「有権者の命」であると思います。

かりに私の名前「高橋大輔」を投票用紙に書いたとしましょう。
手書きの時間を計測してみたところ、「たかはし大輔」が11秒、漢字とひらがなを入れ替えた「高橋だいすけ」だと12秒。氏名とも漢字の高橋大輔で13秒でした。書き慣れた名前でも、10秒そこらは掛かっています。

ところが、それだけじゃあない。
投票所ではわずかな記名時間でも、そこに足を運ぶまでの移動時間は、はたして20分だったろうか。それとも30分だっただろうか。
さらには、たった一人の名前を書くまでに、出そろった候補者を見比べ、思案し、決断したに至るまでの時間はいかばかりだっただろうか。
他ならぬ「あなた」の名前を書くために、寿命の何分の一かを使った。
つまり、お一人おひとりが命を分けてくださった。そこを感じて欲しいのです。

私が注目し、声援を送り、そして時には全力で応援しようと思った数々の知己や友人、そして仲間がいます。
個別に触れることはここでは控えますが、それぞれが支持を集めた数字を記しておきます。

873、2,148、24,707、842、1,377、5,476、3,647、1,508、1,251、2,137、986、そして2,411。
もしかしたら、書きもれている方もいるかも知れません。
そこは何とぞ御寛恕ください。

それでも、得票の多寡にかかわらずご支持を集めたということは。
まぎれもなく有権者の皆さんはあなたの名前を書くために命を削り、あなたに分けて下さったということなのです。名前を書いていただくということは、それだけ重いことなのです。
そこに気づいたならば、活躍の場を新たに与えられた皆さんは今後、いい加減な政治活動は決してできない筈です。

枕を濡らした候補者の皆さんも、どうかそれぞれの得票には、誇りを抱いて欲しいと願います。
そこに気づくか、あるいは想いを致すことができるかで今後は変わるでしょう。
一旦は沈んでも、ふたたび歩き始めて頂きたいと願っています。

いずれ、 憲政記念館でお会いすることもあるでしょう。
その際に、じっくりお話しができればと思います。

今はしばし、戦士の休息を。
そして、いずれお会いしましょう。

  高橋大輔(尾崎財団研究員)


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